2019くろわぜ旅行記

2019年11月、ドイツ・ヴッパタールとパリへ観劇旅行に行ってきました。

Body and Soul by Crystal Pyte (11/19。長文)

2019年11月19日(火)19:30
Body and Soul by Crystal Pyte
PARIS OPERA BALLET@パリ・オペラ座ガルニエ
2019年10月世界初演。11月19日、20日と二度観劇。
私が観た日は18回目の上演だったので、既に数々の感想を目にしていた。
で、皆さん同じくおっしゃるのが・・・。
「第1部 最高!、第2部 ちょっと停滞・・・?、第3部 超謎!!」

えええ?クリスタル・パイトでそんな事あるかあ?といぶかしがりつつガルニエへ。
ちなみにオペラ座のパイト作品は、この年6月にシンガポールで『The Seasons' Canon』を観たばかり。



第1部は、日本でも上演された『The statement』の様に、録音された言葉と動きがシンクロしたデュオの動きから始まり、大波の群舞に飲み込まれ、うち捨てられて、また置き去りにされる様な流れ。同じテキストが繰り返されるんだけれど、同じ音でもシチュエーションが大きく悲劇に傾いていく。

とにかく群舞が素晴らしい。低い力点の大きなうねり。ぐお〜んと磁場が動くようなフォーメーションとムーヴメントに心がざわつく。加工されたシュプレヒコールの様な、遠くから迫ってくる大勢の叫び。息つく間も無く間に第1部は終わる。衣裳もめちゃ格好いい。

ダンサーでは、フランソワーズ・アリュのキレが半端無い。スキンヘッドでバレエダンサーらしからぬ彼の風貌が、様々な民族に切り替わる様に見えて効果的。
そう、アングロサクソンばかりに見えるPOBのメンバーだと、世界中のすべての人間を映し出す様なパイト作品ではちょっと違和感を感じてしまうのだ。



第2部は静かなパートで、ショパン使用。レオノール・ボラックやユーゴ・マルシャン等をメインに、心を押し沈めた様な場面が続く・・・のだが、安いランニング、みたいな衣裳がパリジャンの皆さんに、どーにも似合わない。ゴージャスさと美しさが邪魔というか。

パイト作品ではスターが出るとか、誰の踊りがどう、というよりも、起きている現象と向き合う様な、ピナ・バウシュ作品に似た「体験」なので、スター性が逆に浮いちゃう感じ。

似たデュオが続いて印象に残りづらいのが勿体ない。特に自分の観劇一日目は鑑賞環境が最悪に近くて、落ち着いて見られなかったというのが一番大きいんだけれど。
後に、ダンサーのインタビューで、この作品のクリエイションはとにかく時間が無かった!というエピソードを読んで、深く納得。



第3部、キンキラの装置が下がっていて今迄の世界と一変する。そこへ全身、頭も全部ラテックスの総タイツで覆われ、エイリアンか昆虫かという謎の生き物たち。

地底の虫の世界を特殊マイクで拾って増幅させたような、コニョコニョさわさわした音と動き。そこへ、一匹だけ見てはいけない、見られてはいけないような異形の毛むくじゃら動物(この時は確かパンいち)が出てきて消える。

あれ?これどっかで見たよね、と思ったら、珍しいキノコ舞踊団『ホントの時間』にこういう毛むくじゃらが出てきましたよね。こそこそ出てきて引っ込んで、「??」と思ってるとやがてガシガシノリノリで踊るの。

蟻さんたち?の群舞が面白いったら無い。身体バリキキのダンサーが、ちまちました振りを踊るのって痛快なのよねん。ポワントの脚がクール。男子も半々いるはずなんだけど、みんなポワント履いてるようにみえて不思議。

突如Teddy Geigerの「Body and Soul」が鳴り響くと同時に、毛むくじゃら君がキンキラわさわさのパンタロン?を履いて再び登場、ガシガシノリノリで全員踊りまくる!

これが超格好いい!!うっひょ〜〜〜〜!っと上げられてるとあっという間に終わる。
と言うわけで、ぽか〜んと観ていると、どわーっと煙に巻かれて終わるのだが、感想としては
「好♡き♡」であった。

で、珍しいキノコ舞踊団の話に戻るのだが、キノコ作品の異形さん(ガチャピンムックのムックみたいな)も、すぐ引っ込んだと思ったらまた出てきて80’sロックで激しく踊るのだった。
唐突に異形のものがこそっと出てきて、かさこそ隠れたかと思ったらやがてドカドカ踊る・・・。どう考えても偶然なのだが、不思議〜、不思議過ぎる!そして、観た方も、なんだか分かんないけどうわ〜!そ、そうですか〜!って飲まれちゃう所もおんなじ。

この一日目は「良かったけど、あれえ?」と言うところを残しつつ、またバスで帰還。
ホテル近くのRue de Buciのカフェでビールとサラダの夜食。

コメント

プロフィール

HN:
くろわぜ
性別:
非公開

P R